大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(オ)335 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人徳田禎重の上告理由について。

特別事情による仮処分取消申立事件において、仮処分の取消により債権者の被る

ことあるべき損害が金銭によつて償われ得るものである事情は、それだけで特別事

情となり得るものであるから、右債権者の被ることあるべき損害が右のようなもの

であることが認められる以上、その他の争点について判断することなく仮処分を取

り消しても違法でないことは当裁判所の判例とするところである(昭和二四年(オ)

第二三〇号同二六年二月六日第三小法廷判決、集五巻三号二一頁参照)。そして原

審は、上告人が仮処分により保全しょうとする権利は金銭的賠償によつて究極の目

的を達し得べきものであること即ち本件仮処分取消により上告人が被ることあるべ

き損害が金銭によつて償われ得るものであることを認定しているのであるから、そ

れだけで民訴七五九条にいわゆる特別事情となり得ること前示のとおりであり、原

審が所論の主張に対して判断することなく本件仮処分取消の第一審判決を是認した

ことは違法ということができないこと明らかである。所論は理由がない。

その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」

(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法

にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

- 1 -

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官河村又介、同本村善太郎は病気のため署名押印することができない。

裁判長裁判官 垂 水 克 己

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